自分に合った税理士事務所って、どのように選べばよいのでしょうか?

わたしは税理士として独立開業する前、2か所の税理士事務所に勤務していました。

最初に勤務した事務所は25名ほどの中規模の事務所で、次に勤務したのは50名ほどの比較的大規模な事務所です。

税理士業界に入って思ったことは、税理士事務所がクライアントに提供しているサービス内容は、事務所によってさまざま、ということです。

出来れば自身の求めるサービスを提供している税理士事務所を選びたいものですよね。

そこで、規模別の税理士事務所の特徴をまとめてみました。

実際は、規模だけでなく、所長の年齢や専門特化しているかどうかによってもサービス内容等は変わってきます。

あくまで私見ですので、ひとつの参考意見として読んでいただければと思います。

職員が30名以上の税理士事務所

サービス内容

職員が30名以上の税理士事務所の場合、どのようなサービスを提供するか(例えば、定期的に面談にうかがう、試算表を送付する、期末に決算シュミレーションを行う、など)の標準化は図られている場合が多いです。

業務内容も、記帳代行だけでなく、業績の報告や税務相談を行うところが多いと思います。

また、税務会計に関するサービスだけでなく、経営支援や融資支援などのサービスを行っている事務所も多いのが特徴です。

人材レベル

職員の全体的な能力は高いと思います。このクラスの特徴として、新卒社員や会計事務所未経験者を積極的に採用しており、社内研修等も充実しているケースも多いです。

事務所によりますが、業務がハードな場合も多く、職員の出入りは多めになり、頻繁に担当が変わることもあります。

料金相場

料金としては高くなります。理由としては、職員の賃金も(会計事務所業界の中では)高く、事務所も大きくなるため、家賃や維持費等の地代もかさみますし、会計業界未経験の職員に対するの教育コストもかかるためです。

注意点

 こうした事務所を選ぶ場合、若手が担当になると、料金の割に低いサービスしか受けられない、担当が頻繁に変わるなどのことが考えられます。(個人事業主や小規模事業者の場合、高い確率で若手が担当となります)

職員が7~29名の税理士事務所

サービス内容

職員が7名~29名以下の税理士事務所の場合、担当者の裁量が大きい場合が多く、どのようなサービスを提供するかの標準化は図られていない場合が多いです。

業務内容については、定期面談に力を入れているところや、記帳代行に力を入れているところなど、事務所によってさまざまです。

担当者の裁量が大きいので、良い担当に当たれば良いサービスが受けられる可能性が高いと思います。

人材レベル

あまり新卒は採用せず、会計事務所経験者を採用することが多く、大きい事務所と比較すると、担当者の能力にばらつきはありません。

しかし、社内で組織的な研修体制が取られていない場合が多く、担当者が長期間変更しない場合も多いので、担当者によって当たり外れがあると思います。

所長の年齢が高い事務所の場合、職員の出入りは少な目の事務所が多いです。

料金相場

料金としては普通~やや高くなります。 理由としては、職員の賃金は大手と比べると低く、職員の出入りの少ない事務所の場合は、職員の教育コストがかからず、担当者が長期間同じ顧客を担当するため、ある程度付加価値の高いサービスを提供しても、効率が良く、料金に反映できるためです。

注意点

 こうした事務所を選ぶ場合は、一度担当が決まると、その担当者と長く付き合うことになります。また、サービス内容も担当者によって違う場合もありますので、サービス内容を事前にしっかり確認したほうが良いと思います。

職員が2~6名の税理士事務所

サービス内容

職員が2名~6名以下の税理士事務所の場合、サービス内容は記帳代行および申告のみというシンプルな場合が多いです。(なにかあったら相談に乗るスタイル)

業務内容については、定期面談を行っていない事務所が多いと思います。

人材レベル

所長+パート職員という形が多いです。

所長は税務署OBの場合、税務知識にはたけているが、経営相談等は積極的に行っていない場合が多いです。

所長以外の担当者がいる場合もありますが、社内での教育はほぼないため、能力は低めとなります。

料金相場

料金としては安め~普通となります。理由としては、会計帳簿入力のためのパート職員が多く、比較的人件費がかからないことと、サービス内容も基本的なものしか行わないことが多いためです。

ひとり税理士
サービス内容

ひとり税理士の場合、少数の顧客と深い関係性をつくり、定期的な面談を通じて付加価値の高い業務を提供する場合が多いです。

また、顧問契約だけでなく、スポットサービスも提供している場合も多いです。

人材レベル

税理士が担当するため、基本的に能力は高いと思います。(会計事務所では、税理士資格を保有している人は10~20人にひとりくらいです)

料金相場

料金としては普通~高めとなります。理由としては、自宅兼事務所などで固定費を下げているものの、ひとりで業務を行うため、ビジネスモデル的に少数の顧客に対して高付加価値業務を提供する形が多くなるためです。

まとめ

税理士事務所を選ぶ際、上記特徴を踏まえ、

①標準的なサービス内容(面談のありなしなど)

②自社の担当になる人は会計事務所歴何年くらいで何歳くらいの人になりそうか

③社内の研修体制

などを聞いてみると良いと思います。

ちなみに平阪智昭税理士事務所は?

当事務所では、「中規模以上の事務所の当たり職員」が提供しているサービスを「普通の料金」で提供することを心がけています。

そのようなサービスが提供可能な理由として、

・税理士資格を持つ私が担当となり、サービス提供するため、経験年数や能力の差による品質のブレがない

・クラウド会計の積極的な導入やオンライン面談などにより、コストをかけず付加価値の高いサービスを提供可能

・自宅兼用事務所+会計入力業務を在宅スタッフへ依頼するなどのコスト削減努力を行い、固定費を削減し、その分価格に反映している

といった工夫を行っているためです。詳しくは事務所の特徴をチェックしてみてください。

今回は、サービス内容、人材レベル、料金といった視点から税理士事務所の特徴をお伝えしましたが、税理士事務所を選ぶ際にもうひとつ大事なことがあります。

それは、税理士との相性です。

税理士との相性は、実際に会って話してみないとわからないと思います。

(税理士が直接担当しない場合、担当予定者とも会うことをおすすめします)

相性が悪いのに、例えば料金だけで税理士事務所を決めてしまうと、お客様は元より、税理士事務所側にとっても不幸なことになると思います。

なので、税理士事務所を選ぶ際は、複数の事務所で見積を取り、実際に会って、サービス内容、料金、税理士の雰囲気を確かめてから契約することをおすすめします。