こんにちは!岐阜県高山市を中心に活動している税理士の平阪です。
前回の記事で、さるぼぼコインを使っての決済方法のしくみについて解説しましたが、今回はその続きで、お店がさるぼぼコインを決済手段として取り入れるうえでの注意点とおすすめの仕訳方法をお伝えします。
目次
注意点1 決算時、売上計上を忘れがち
前回お伝えしたとおり、さるぼぼコインは積極的に換金、送金しない限り、さるぼぼコインとして存在し続けます。
一方、PayPayなどの電子マネーは、一般的には、売上が発生した翌月に一定期間分がまとめて通帳に入金されます。
この違いは重要で、
・ PayPayを決済手段として利用している場合には、定期的に通帳に入金があるため、決算時の売上計上漏れの確認がしやすい
のに対して、
・ さるぼぼコインを決済手段として利用している場合には、自分で積極的に払い戻し手続きを取らないと通帳に入金がないため、うっかり売上を漏らしてしまう場合がある
ということが起こりえます。
下の仕訳のように、売上をきちんと発生主義であげている場合には、このような売上計上漏れは起こらないですが、期中は通帳入金ベースで売上計上し、決算時に売掛を計上している様な場合には売上がもれてしまい、税務調査での指摘につながりますので、要注意です。
仕訳例
1日の合計売上 1万5千円(内訳 PayPay決済 1万円 さるぼぼコイン決済 5千円)の場合
注意点2 さるぼぼコインは払い戻しをした際に手数料が引かれる
2つめの注意点としては、さるぼぼコインの場合、払い戻しの手続きをした際に、手数料を差し引かれた金額が通帳に入金される点です。
クレジットカードを使った決済の場合と、さるぼぼコインを使った決済の場合での違いをみていきましょう。
・クレジットカードの場合
クレジットカードの場合、一定期間の売上が翌々月に手数料を差し引いて入金されます。
例 7月10日1万円売り上げ、7月11日2万円売り上げがあった場合の仕訳
・さるぼぼコインの場合
一方、さるぼぼコインの場合は、払い戻した際に手数料が差し引かれて入金されます。
例 7月10日1万円売り上げ、7月11日2万円売り上げがあり、7月20日に2万円、9月10日に1万円払い戻し手続きを行った場合
つまり、クレジットカードを利用する場合は、支払手数料の計上は月一度、クレジットカード会社からの明細を確認して処理をすれば良いのですが、さるぼぼコインの場合は、払戻手続きを行う都度、支払手数料を計上しなければなりません。
注意点3 支払手数料は消費税課税仕入になる
注意点の3つめとして、払戻しを行う際の支払手数料の課税区分です。(消費税の免税事業者、または消費税の簡易課税制度を選択している場合は読み飛ばしてもらって大丈夫です)
電子マネーやクレジットカードの決済手数料って、消費税が課税か非課税かが非常に分かりづらいので困るんですよね。
私が調べた限りですが、ご覧の通り同じような決済手段でも消費税の課税、非課税がわかれます。
aupay
PayPay
AirPay
LinePay
交通系IC
楽天Edy
WAON
nanaco
消費税非課税
クレジットカード
ユニオンpay
ID
QUICPay
※あくまでわたしが調べた情報です。
さるぼぼコインに関しては、さるぼコインを通常のお金に変換する手数料となり、消費税は課税仕入で大丈夫です。
消費税の課税対象者で、簡易課税制度を選択してない場合は、さるぼぼコインの支払手数料は課税仕入で処理しましょう。
おすすめ記帳方法
最後に、さるぼぼコインを決済手段として使用している場合のおすすめの記帳方法をお伝えします。
・売り上げに占めるさるぼぼコイン決済の割合が小さい場合
さるぼぼコインでの決済はあるが、売上に占める割合が小さい(全体の5パーセント程度)の場合は、下記の処理がおすすめです。
おすすめ理由としては、
- 売上に占める割合が小さいので、払い戻したタイミングで売上計上しても、月次決算上でのインパクトが小さいので、あまり関係ない
- さるぼぼコインを管理する手間を考えると、期中は現金処理でも良い
からです。
・売り上げに占めるさるぼぼコイン決済の割合が大きい場合
売上に占めるさるぼぼコイン決済の割合が大きい場合は、上記のような簡易的な処理でなく、きちんと発生主義で経理したほうが良いです。
理由としては、
- 上記簡易的な処理を行うと、払い戻しのタイミングによって売上計上月がばらけてしまい、後で振り返った場合、分析がしずらい
からです。
きちんとした経理は今後の経営に役立つ有用な資料になりますが、あまり細かくやりすぎて、経理に時間をかけすぎても意味がありません。
効率的な経理と、経営に活かせる記帳のあんばいというのは難しいものですが、折り合いをつけていきたいものです。
というわけで、今回は、さるぼぼコインを決済手段として利用した場合の注意点とおすすめの経理方法のご紹介でした。ではまた!